東京オリンピックと、美学の話

7月最後の今日、2回目のCOVID-19モデルナワクチン接種をしてきた。

1回目のワクチン接種人数が人口比38%を超えた一方、東京都の新規感染者数は過去最高を叩き出している。比例するように、身の回りでもコロナ罹患により活動を休止するタレント・アーティストが増えてきた。

そんななか、接種場所の近くで物々しく開催されているオリンピックをみて、モヤモヤした気持ちを抱いた。

忘れぬうちに、その記録を記す。

元々、僕は、多くの人がみるコンテンツはあまり好きではない「ひねくれもの」だ。スポーツ観戦の趣味もないので、過去のオリンピックはほぼ観てこなかった。昨今の情勢は抜きにして、オリンピックがnot for meであるという前提は踏まえる。

しかし、自国で世界的イベントが開催され、世界中から人が来ると言うビッグチャンスには興味があったし、生きているうちにこういう機会を体験できることは、肯定的に捉えていた。

それでも、コロナの影響で一年延期となり、さらに、感染拡大やまぬさなかの開催となり、肯定的な気持ちもしぼんでしまった。

挙句には、モヤモヤして、否定的な感情が優位になる。それはなぜか。

内省して理由を考えてみた。

多分モヤモヤの理由は、政治やメディアが説明責任を果たしていないように感じているからだ。

日本政府は、最初の緊急事態宣言の頃から、コロナに対してフワフワした態度をとってきたように見える。これは日本人のある種の協調的な国民性を見越しての判断なのか、オリンピック中止論を起こさぬための布石だったのか、リーダーシップの不在なのか、それ以外か、あるいは全てなのか、僕には真実を判断する術はない。

頻発する緊急事態宣言、違いがよくわからないマンボウ。発動するたびに国民の自主規制は緩む。一方で何においてもプランBは示されず、感染者数がどうなると何が起きるのか、明確に語られることなく「俺たちはふいんき(なぜか変換できない)で感染対策をやっている」という状況にすらなってきた。

僕がオリンピックにモヤモヤする理由は、オリンピックが、説明責任を果たしていないフワフワ対策の集大成・象徴のように感じるからだと思う。

しかし、アスリートは五年間研鑽した成果を思う存分ふるえばいいと思うし、得た成果は誇ればいいと思う。それはそれ、人間は自分に返ってくるものを最も大事に思う。その気持ちは否定できない。

もっと言えば、アーティストも対策をしたうえでライブをしていいと思うし、飲食店も営業していいと思う。こんなこと言ったら日々誰よりも犠牲をはらってギリギリのところで留まっている医療従事者の人を不快にしてしまうかもしれない。別にアナーキストを気取っているわけではない。すべてはゲームバランスが悪いせいだ。でもわかる。未曾有の災害に対しての最適なバランスなどない。難問すぎる。

どこまで政府は「計算」でやってるのだろうか。あえてフワフワしてる可能性もある。結果としてそれが正しい判断の可能性もある。一概に否定はできない。

政治は、内も外も見ながら、扱いきれないほどの要素を加味してバランスを取るゲームだ。僕は、その政治の良し悪しを語れるほどの一次情報は持ち合わせていない。何が正解かわからない。

ただ、文句を言う権利はあるし、投票にいく義務もある。

だから声だかに文句を言い続けたいと思う。与党の誰かはリーダーシップをとってほしい。たくさんの言葉をもって、その意志を示してほしい。数値に基づく分析が添えられていればベストだ。最悪それも無くていい、別に気持ちだけでもいい。それが自分の心からの言葉なのであれば。
たしかにコロナ問題は難問だ。答えはない。だからこそ間違っていい、ひとつひとつの仮説を、検証を、努力の成果を説明してほしい。

心からの言葉であればなんでもいい。オリンピックをどうしてもしたいなら、そう言ってくれ。それならそれで協力する。せっかく総理大臣になったんだから、それぐらいの夢は叶えて良い。誰も本音で語れない状況よりは、よっぽど良い。本音だってわかれば投票する。僕の1票のために本音を言うのはリスクがある?そりゃそうだ。そういう風潮もわかる。

でも、ひとりひとりが、命と、生活と、自由を賭けて、コロナに挑んでいる。その成果はなんだ?オリンピックがそれなのか?そこまでここに向かって一体感あったっけ?違うならなんなんだ。何のために頑張っているんだ。僕らはどこに向かっているんだ。

明日から8月になる。

僕は僕なりに、できる範囲で感染防止をしながら、やりたいことをやる。僕は、許された権利のなかでやりたいことをやって、未来を手繰り寄せるのがリーダーだと思うし、それがカッコいいと思う。結局最後は、美学の話になってしまった。

オリパラのアスリートは頑張ってほしい。飲食店の人は、規制が緩んだいま少しでも稼いでほしい。感染拡大に努めている人は凄い。医療従事者の方、本当にありがとうございます。

僕たちはふいんき(なぜか変換できない)で今の時代を生きている。

不満があれば、自分がリーダーシップを執って、できる範囲のことを変えていくしかない。

それが積み重なれば、きっと周りも変わるはずだ。

たぶんね。おそらくきっと、少しは変わるんじゃないかな。

しらんけど。

20217月末日

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